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    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改(TS class Racing Car) - 1974年)

    2013/05/23 23:05|日本車-トヨタTB:0CM:2
    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_01
    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット
    (KUWAHARA POWER TEAM TOYOTA STARLET KP47 - KP47改(TSレース仕様) - 1974年)
    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_02
    1974年頃、日本国内の自動車レースは、トヨタ対ニッサンのワークスチーム争いが熾烈に繰り広げられていました。
    中でも、マイナーツーリングクラスの日産サニー対トヨタスターレットの闘いは、語り草になっています。
    その闘いに決着を着けるべく、トヨタ自動車が総力を結集して開発したのが、KP47型スターレットに搭載された137E型と呼ばれる、ワークスエンジンでした。
    伝説のスライドバルブ、峡角ツインカムヘッド搭載の、本物のトヨタワークス 3K-R 137E 搭載。クワハラレーシング・スターレットをご紹介します。


    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_02
    1970年代前半は、日本のモータースポーツはとても盛況で、市販車をベースにしたクルマで行われた、マイナーツーリングカー(TSクラス)レースに於いても、自動車メーカー同士が総力を結集して、闘っていた時代でした。

    当時、このクラスに於いてのトヨタ・ワークスチームの実戦部隊は、「東のトムス、西のクワハラ」と呼ばれていたそうですが、この2つのレーシングチームが主体と成っていたそうです。

    その、西のクワハラこと、クワハラレーシングが製作したTS仕様のトヨタ・スターレットには、映画で主役を努めたこともあるハンサムトップレーサー、見崎清志選手が搭乗しました。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_03
    クワハラ・スターレットの外見は、KP47型トヨタ・スターレットそのものですが、当時の若者が憧れたTS仕様の大型オーバーフェンダーやフロントスポイラー、リヤスポイラー、など、1970年代レーシングサルーンの代名詞となったスタイルです。

    側面と後部のウインドウは、アクリルで出来ており、ボンネットやトランクはピン留め式、前後には、けん引フック、リヤバンパー下にちらっと見えるのは、ATL製の安全タンク(燃料タンク)、そして左下からのぞくのは、サイドエキゾーストマフラーでした。
    内装は、もちろん余分な快適装備は外され、ロールケージが張りめぐらされています。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_05
    この個体は、カラーリングも当時のクワハラレーシングのカラーそのままです。
    トムススターレット、マルゼンテクニカサニー、アドバンサニー、ヤマトシビックなどと熾烈な闘いを繰り広げた伝説のツーリングカーそのものでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_06
    こちらが、左ドアの下から生えたサイドマフラーの出口です。
    1980年代中盤までは、サーキットレースでの音量規制と云うのは特にありませんでしたので、TSクラスのツーリングカーでは、このようなストレート管、サイド出しと云うのが定番でした。
    さらに、まだ過給器も無い時代ですので、この1300ccのエンジンでも、地響きを伴う爆音を発します。
    (一般的に、ターボなどの過給器付きエンジンは、若干音が静かになると云われています。)

    実際にエンジン音も聞かせていただきましたが、カミナリが落ちたような音が鳴り響きました。
    良き時代のレーシングカーです。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_07
    タイヤは、ダンロップ・レーシングのレーシングスリックタイヤで、サイズは、225/515-13と云う表記になります。
    当時、街中で見かけるコンパクトカーは、まだ135-12インチや13インチ前後でしたから、225と云うサイズ自体、もの凄い太さだったようです。
    それを包み込むためのオーバーフェンダーもかなりの迫力でした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_08
    こちらも迫力のリヤビュー。
    1970年代は、まだ街乗りのクルマにリヤスポイラーを装着することは、日本の法規的には許されていませんでしたので(ドアミラーや60%扁平のタイヤすら×でした)、この大型のダックテールスポイラー自体もレース専用です。

    DUNLOPのステッカーが貼ってあるのは、ここまで低くマウントされたATL製の安全ガソリンタンクのケースです。

    ワークスカーでも、当時のツーリングカーは、まだリヤはリーフリジッドサスペンション(板ばね式)です(左右に見える青いパーツ)。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_09
    クワハラスターレットのトランクルーム内。
    トランクの床下に搭載されているのはガソリンタンクです。
    トランク内には、燃料ポンプやコレクタータンク(右隅にある四角いアルミの箱)など、安全タンクの補器類が装着されていました。

    この安全タンクは、レース車両用のパーツで、車両の転倒時に、ガソリンが漏れにくいようにスポンジのようなものに染み込ませてガソリンが入っています。
    また、外側はアルミ隔壁ですが、中身の入れ物は変形に強い、やわらかい樹脂製の入れ物で出来ていて、潰れても漏れにくくなっているもので、21世紀のトップカテゴリーレースでも標準的に使われているものです。

    こちらは、恐らく最近のものに積み替えられているようですが、当時は、とても高価な装備だったと思います。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_10
    給油口の蓋には、何故かトヨタ2000GTのステッカーが貼られていました。
    周囲のアルミ製の隔壁類などは、ワンオフで製作されたもののように見えました。

    安全タンクのシステムですが、電磁ポンプでタンク内の燃料を吸い上げ、右隅にあるコレクタータンクに一定量を一旦溜めるようになっています。
    溜めたところからガソリンがエンジンに送られる仕組みで、このようにすることで、コーナリング時に燃料が偏ってしまうことで燃料を吸い上げられなくなることを防止出来ると云うメリットがあるようです。
    他にも燃圧(燃料をエンジンに送るための圧力)の安定化などもあり、安全面と機能面で、とても優れたシステムなので、もう何十年も標準的に使われている燃料システムのようです。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_11
    こちらは、フロントサスペンション。
    当時のクワハラスターレットが、どのような足回りを持っていたのかは不明ですが、現在はこのように車高調整式ダンパー+直巻きスプリング型のサスペンションシステムが装着されていました。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_12
    クワハラスターレットの右側面の眺め。
    モールやバッジといった装備が省かれているのでとてもシンプルに見えます。
    よく見たら鍵穴も省かれていました。スムージング!?

    それにしても、このオーバーフェンダーのボリュームは凄いです。
    砲弾型のカッコいい形状ですが、当時はレーシングカーもフェンダーミラーでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_13
    お待たせしました!
    これが、トヨタが打倒日産の為に製作した、伝説のエンジン、トヨタ3K-R 137E型です。

    量産車のKP47スターレットと共通しているのは、ピストンの数ぐらいで、3Kエンジンベースとは云うものの、内径79.0mm×工程66.0mmのショートストロークレイアウトで約100ccの排気量アップ、峡角ツインカム16バルブで、潤滑はドライサンプ式、エアファンネルから空気を入れ、スロットルは、スライドバルブ式の4連スロットルで、プランジャーポンプ式の燃料噴射装置が着いています。さらにエキゾーストは、等長排気管を通してボディサイドへ排出するストレート管と、全くの別物です。

    この個体のオーナーさんは、嘗てクワハラレーシングに籍を置かれていたそうですが、このエンジンは、トヨタが数十億円を掛けて開発したそうです。
    まさにメーカーの威信を賭けての闘いだったことが判ります。

    それにしても、こんなに幅の狭いDOHCエンジンは、他に見たことがありません。全てはスピード競技に勝つためのワンオフです。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_14
    補器類や配管、電気コードなどは、新しい方式のものに取り替えられていますが、エンジンは紛れも無く本物のトヨタワークス製エンジンです。

    ちなみに、ファンネルの異物防止の為に被せられた蓋は、テニスボールでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_15
    こちらは、3K-R 137E型エンジンの等長排気管(タコ足)ですが、ものすごく複雑な曲線を描いています。
    パイプから曲げる場合ですと、曲がりの部分がどうしても細くなりがちなのですが(2輪の「ヨシムラ手曲げ」が優れているのは、ここが細くならないように匠の技で曲げてあるそうです)、これは形状からして曲げなのか、継ぎなのか不明でしたが、確かに細くはなっていませんでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_16
    こちらは、室内。
    インストゥルメントパネルは、量産型のものが着いていました。
    わたしは1980年代以降のTSクラスしか知らないのですが、1970年代は、ここは量産型のまま残す必要があったのかどうか、定かではありません。
    フロアは、もちろんストリップダウンされ、ドア内張りもアルミ?パネルに貼りかえられています。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_17
    量産型では後部座席があった部分。
    この部分もストリップダウンされ、燃料タンクが搭載されたトランク部分との隔壁が新たに造られています。
    青っぽいのは、サイドウインドウが青色のアクリルウインドウの為です。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_18
    嘗て"男の仕事場"と呼ばれた、運転席周り。
    ドライバー側は、フロアにアルミが貼られ、ペダル類やフットレストなども造られています。
    この為、当時のレーシングカーにしては、華やかな印象でした。
    アクセルペダルの右にある構造物は、確実なペダル操作のために造られた壁でしょうか。軽量化の為に肉抜き(丸い穴を開けてある)されています。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_19
    ドア内張りの操作レバーなどは、量産車からの流用のようです。

    ステアリングは、1970年代は、丸型断面が主流だったように思います。
    わたしがプロダクションカーレースに出ていた90年代前半は、楕円断面が流行でしたが、好みで丸型断面を使うドライバーも居りました。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_20
    ピンボケで申し訳ない写真ですが、タコメーターです。
    量産型のガワに上手も収められていますが、9.000rpmからのレッドゾーンに注目。

    さすがは、ショートストロークのフルチューンツインカムと云う感じでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_21
    こちらは、21世紀型のエンジンスターター一式。
    トグルスイッチは、恐らく電磁ポンプなどのスイッチと思います。
    シフトノブは、量産型のものでした。

    今後は、レーシングカーで、Hパターンの5速ギアと云うのも珍しいものになるのでしょうが、当時はまだ4速ギアがあたり前の時代。
    若者が、5速とか5speedと云う言葉に憧れた時代なのでした。

    クワハラレーシング・トヨタ・スターレット(KP47改 - 1974年)_23
    【こぼれ話】
    このクワハラ・スターレットは、チーム・ヤマモト・クラシックカーフェスティバル2013の会場で、オーナー様お声を掛けさせて頂き、取材させていただきました。ありがとうございます。

    朝、会場に着いて、この姿を見た途端に「わー!」って思わず声が出ました。

    クワハラスターレットのことは、以前、主催者のヤマモト自動車さんに伺っていましたので、遂にめぐり会えた!と云う感激の「わー!」でした。
    この個体に、伝説のトヨタワークスエンジン、3K-R 137Eが搭載されていることは、すぐに判りました。

    早速、オーナーさんにお話を伺いました。
    嘗て、クワハラレーシングに籍を置いておられたそうですが、やはり、この時代の日本のものづくりを支えて来られた方でした。

    僅か40年前、日本を代表する自動車メーカー2社が、まさに社運を賭けてモータースポーツで競い合った時代がありました。

    当時はレーサーも、今以上に花形で、週刊誌に有名女優とのゴシップが記事になる程、一般的にも人気でした。
    このクワハラスターレットを操った、見崎清志選手もその人気レーサーのひとりでした。

    実際に、このクワハラスターレット(KP47 - 3K-R 137E + 見崎清志選手)は、特殊ツーリングカー(TS)レースに於いて、1977年~79年に、毎年勝利を挙げています(JAFの公式記録による)。

    この時代の特殊ツーリングカーレースには、同じくクワハラスターレットに搭乗した長坂尚樹選手、現トヨタ・チーム・トムス代表の舘信秀氏や、和田孝夫選手、鈴木恵一選手、都平健二選手、星野薫選手、故・高橋健二選手など、その後も日本のレースを支えたトップレーサーが沢山エントリーしていました。

    そして、その花形を支えて居たのは、紛れも無い日本の、メイドインジャパンの技術者でした。
    当時の国内モータースポーツは、技術者と技術者の闘いそのものでした。
    自動車メーカーもそれを後押しし、3K-R 137E型エンジンに注ぎ込まれた開発費数十億円は、ただのイメージ戦略では済まされない意地があったように思います。

    オーナーさんがこのクルマを通じて、21世紀の日本に伝えたいのは、まさに「ものづくり王国にっぽん」なのでした。
    コメント
    初めまして
    ジウジアロ-デザインですか
    この全長の中でかっこいいですね

    まだ現存していたんですね

    そのプラモデルいまでも飾っています
    フロントウィンドウに
    トヨタオ-ト多摩のデカ-ル
    がはってあります
    ライトバン #WcjbjYaY|2014/01/02(木) 14:11 [ 編集 ]
    ライトバンさま

    はじめまして。Nostalgia-Cars 制作者のNostalgia1970です。
    当Webサイトをご覧頂き、コメントも頂きましてありがとうございます。

    おっしゃるとおり、KP47は、コンパクトなサイズの割りに70年代GTカーのスタイリングを見事に表現していて魅力的ですね。
    ここに掲載の固体は、特にワークスエンジンの希少性が特筆でした。

    お持ちのプラモデルも既にかなり貴重なものだと思います。
    「トヨタオート多摩」は、確かトムス発祥のディーラーだったと記憶します。
    プラモデルでは、エンジンが着いていないかも知れませんが、実写は、ここに掲載のクワハラスターレット同様に、トヨタワークス製の侠角ツインカムスライドバルブが載っていた個体だと思います。

    今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

    Nostalgia-Cars Webサイト管理者 Nostalgia1970
    Nostalgia1970 #HsmQRNbc|2014/01/03(金) 10:37 [ 編集 ]
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